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「かぐやひめ」へようこそ (9)
神無月です。
望実、綾花はかなり具体的なイメージが固まっているのでラフに起こしやすかったのですが、母親役の結香に苦戦中です。週末には、何とか仕上げたいと思っています。
というわけで「かぐやひめ」更新。記事の下の方にある「続きを読む」からどうぞ。
ついでに本日のお洋服。セーラーワンピースや丸襟ワンピースは定番です。
(9)
後ろ手に何かを持ったまま、宮子はなぜか光一から離れていく。部屋の反対側までやってくると、光一のほうを振り返ってしゃがみ込み、
「さ、光一ちゃん、こっちにいらっしゃい」
先ほどおもちゃ箱から出したものを、からからと音を立てて振ってみせる。
「そ、それ……」
「ほらほらいらっしゃーい、光一ちゃんの好きながらがらでちゅよー」
可愛い絵の描かれた円筒形のオモチャは、赤ちゃんをあやすときに使うがらがらだった。もちろん、大学生の男がそれを見て笑顔になれるはずもない。
「やっ、やめてくれ! お、俺は、赤ちゃんなんかじゃ……」
「普通にはいはいしたんじゃ、つまらないでしょ? 恥ずかしがらずに、こっちいらっしゃーい?」
「うっ……」
がらがらの鳴る音に導かれるように、ぎこちなく、右手を前に出し、左足を前に出し、左手、右足――よちよちと、赤ちゃんのようにはいはいする。
「よち、よち、よち、よち。光一ちゃん、はいはいお上手ねー」
「だ、だからそういうのはもういいですから!」
さすがに恥ずかしさに耐えかねて、光一は道半ばで立ち上がる。顔はお酒でも飲んだように、真っ赤になっていた。
「あらそう? で、着心地はどうだった?」
「おかしいところはありませんでした。はいはいしてても、窮屈な感じはしませんでしたし。もう脱ぎますよ」
「そう、大成功ね」
さすがに付き合いきれない。光一は ベビー服を脱ごうと、背中のスナップボタンに手を回した。一番上のボタンははずれたが、その下がなかなか難しい。
服を脱ぐのに夢中になっている光一の前で、宮子は彼が脱ぎ捨てたトランクスを拾い上げた。先ほど彼の服をしまったクローゼットをあけて、トランクスもその中に入れると、南京錠を使ってクローゼットの鍵をかけてしまった。
光一はしばらく、彼女が何をしているのか判らなかった。しかし数秒かけて、水がスポンジにしみこむようにゆっくりと、いまの事態を理解し始める。
「……え、な、何を……」
「ん? 光一くんの服や下着に、鍵をかけたのよ」
「なっ、なんでそんなことを!」
「決まってるわ。君に、着替えさせないようにするためよ」
「そんな……じょ、冗談はやめて、鍵を開けてください!」
「あけてあげたいのは山々なんだけど、あたしその南京錠の鍵、持ってないのよ」
「じゃあ誰が!?」
「さぁ?」
とぼけられて、怒りにめまいがしてきた。悪夢だった。こんなベビー服におむつをつけたまま、家に帰らなければならないのか――
「ほ、他にもっと、まともな服を貸してください……」
「それだってまともな服でしょ? 女の子の赤ちゃんはみんな、それと同じような服を着ているわ」
「屁理屈はいいですから、他の服を貸してくださいよ!」
「ん? もしかして、その恰好で外に出るのは恥ずかしい?」
「当たり前です! こんな、女の子の赤ちゃんみたいな服で……!」
「いいじゃない、どこの誰か知られなければ、別に恥ずかしくなんてないでしょ?」
「そういう問題じゃ、ありません!」
知り合いに見られたり身元がばれたりするのはもちろん大問題だが、ただ単に、ベビー服を着て歩き回っているところを大勢に見られるだけで充分恥ずかしい。
しかし宮子は「落ち着いて」と彼をさとし、
「別にどこの誰か判らなければ、恥ずかしがることなんてないでしょ? 見てる人は誰も、光一くんだなんて判らない。ただ単に、可愛い女の子みたいな服を着た人がいた、ってだけのことなんだから」
「そ、それは……」
「ね? だから光一くんが恥ずかしがる必要なんてどこにもないのよ」
「でも、万一知り合いに見られたら……」
「だったら、いい方法があるわ」
「なんですか?」
光一は猜疑に満ちた目で、諸悪の根源をにらみ付ける。宮子は平然と彼の目を受け止めて、期待を持たせるような笑みを浮かべた。
望実、綾花はかなり具体的なイメージが固まっているのでラフに起こしやすかったのですが、母親役の結香に苦戦中です。週末には、何とか仕上げたいと思っています。
というわけで「かぐやひめ」更新。記事の下の方にある「続きを読む」からどうぞ。
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(9)
後ろ手に何かを持ったまま、宮子はなぜか光一から離れていく。部屋の反対側までやってくると、光一のほうを振り返ってしゃがみ込み、
「さ、光一ちゃん、こっちにいらっしゃい」
先ほどおもちゃ箱から出したものを、からからと音を立てて振ってみせる。
「そ、それ……」
「ほらほらいらっしゃーい、光一ちゃんの好きながらがらでちゅよー」
可愛い絵の描かれた円筒形のオモチャは、赤ちゃんをあやすときに使うがらがらだった。もちろん、大学生の男がそれを見て笑顔になれるはずもない。
「やっ、やめてくれ! お、俺は、赤ちゃんなんかじゃ……」
「普通にはいはいしたんじゃ、つまらないでしょ? 恥ずかしがらずに、こっちいらっしゃーい?」
「うっ……」
がらがらの鳴る音に導かれるように、ぎこちなく、右手を前に出し、左足を前に出し、左手、右足――よちよちと、赤ちゃんのようにはいはいする。
「よち、よち、よち、よち。光一ちゃん、はいはいお上手ねー」
「だ、だからそういうのはもういいですから!」
さすがに恥ずかしさに耐えかねて、光一は道半ばで立ち上がる。顔はお酒でも飲んだように、真っ赤になっていた。
「あらそう? で、着心地はどうだった?」
「おかしいところはありませんでした。はいはいしてても、窮屈な感じはしませんでしたし。もう脱ぎますよ」
「そう、大成功ね」
さすがに付き合いきれない。光一は ベビー服を脱ごうと、背中のスナップボタンに手を回した。一番上のボタンははずれたが、その下がなかなか難しい。
服を脱ぐのに夢中になっている光一の前で、宮子は彼が脱ぎ捨てたトランクスを拾い上げた。先ほど彼の服をしまったクローゼットをあけて、トランクスもその中に入れると、南京錠を使ってクローゼットの鍵をかけてしまった。
光一はしばらく、彼女が何をしているのか判らなかった。しかし数秒かけて、水がスポンジにしみこむようにゆっくりと、いまの事態を理解し始める。
「……え、な、何を……」
「ん? 光一くんの服や下着に、鍵をかけたのよ」
「なっ、なんでそんなことを!」
「決まってるわ。君に、着替えさせないようにするためよ」
「そんな……じょ、冗談はやめて、鍵を開けてください!」
「あけてあげたいのは山々なんだけど、あたしその南京錠の鍵、持ってないのよ」
「じゃあ誰が!?」
「さぁ?」
とぼけられて、怒りにめまいがしてきた。悪夢だった。こんなベビー服におむつをつけたまま、家に帰らなければならないのか――
「ほ、他にもっと、まともな服を貸してください……」
「それだってまともな服でしょ? 女の子の赤ちゃんはみんな、それと同じような服を着ているわ」
「屁理屈はいいですから、他の服を貸してくださいよ!」
「ん? もしかして、その恰好で外に出るのは恥ずかしい?」
「当たり前です! こんな、女の子の赤ちゃんみたいな服で……!」
「いいじゃない、どこの誰か知られなければ、別に恥ずかしくなんてないでしょ?」
「そういう問題じゃ、ありません!」
知り合いに見られたり身元がばれたりするのはもちろん大問題だが、ただ単に、ベビー服を着て歩き回っているところを大勢に見られるだけで充分恥ずかしい。
しかし宮子は「落ち着いて」と彼をさとし、
「別にどこの誰か判らなければ、恥ずかしがることなんてないでしょ? 見てる人は誰も、光一くんだなんて判らない。ただ単に、可愛い女の子みたいな服を着た人がいた、ってだけのことなんだから」
「そ、それは……」
「ね? だから光一くんが恥ずかしがる必要なんてどこにもないのよ」
「でも、万一知り合いに見られたら……」
「だったら、いい方法があるわ」
「なんですか?」
光一は猜疑に満ちた目で、諸悪の根源をにらみ付ける。宮子は平然と彼の目を受け止めて、期待を持たせるような笑みを浮かべた。
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