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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-11

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体験入学 第四章 Part.3


 * * *

「……そう、そんなことがあったの」
 事情を聞いた翠は顔を曇らせて、言葉に迷っているようだった。歯に衣着せぬ言動の彼女にしては珍しい。
 武生は家を出た直後、携帯を使って翠にメールをし、彼女の家に押しかけた。
 前々から、翠や茜からは、うちに来て暮らさないかと言われていたのだ。もちろん、服から何から全部女の子としての生活を強要されることは明らかだったから、いままでは断ってきていた。しかし知香からの辱めを受ける間に、まだその方がマシかも知れないと思い始め、深山小学校に入学することを将来の進路として真剣に考えていたのも確かだった。
 そのために、彼は大学受験のための勉強をほとんど捨て、ひたすら深山小学校に入学するための英語の勉強にいそしんだ。模試で英語以外全滅したのは事実だったが、あれはわざとで、いざとなればそこそこの大学に行ける程度の学力は残してある。要するに、家族を振り捨てて出て行こうと思ったときに、小学校を受験するための勉強だけをしている姿を演じることで、家族から見放され、翠の家に厄介になる口実を作りたかったのだ。
 応接間に案内されたとき、すでに二人の先客がいた。二人とも、武生にとっては見知った顔――児童会長の六年生、大庭悟と、児童会書記の一年生、文月七菜だった。
 彼らも同席する中、武生が一通りの事情を説明したところで、冒頭の翠の言葉に戻る。
 武生はそんな翠に対して、軽く笑って見せた。
「大したことじゃないよ。もともと、親父もお袋も鬱陶しかったしね。窓際族の癖に父親の威厳とやらにしがみついてる親父。パチンコ狂いでキッチンドリンカーのお袋。おまけに妹まで本性を現して、もううんざりだったんだ。未練はないよ」
 しかし茜は、彼の心を見透かすような目を向けて、こう言った。
「強がってるんじゃないの。小学生になるのがそんなに良いのなら、何でもっと早くうちに来なかったのよ。家族を壊してまで来るつもりはなかったんでしょ?」
「……茜さん」
「あなたは長年暮らした家族と引き換えて、小学校の女子児童になる方を選んだ。でも小学生の生活だって、あなたにとっては、それほど心楽しい選択肢じゃないわよね。そんな生活でも家族と一緒にいるよりはマシ、なんて選択、お人好しのあなたにとっては辛いはずよ」
「……うん」
 年上の言葉に、武生は小さく肯く。どれほど嫌な相手だろうと、長年暮らしてきた家族なのだ。それを振り払うことに未練がないと言ったのは、嘘だった。
 少し気落ちする彼の横で、翠がくすくすと笑っている。何事かと聞いてみると、
「いや……知香ちゃんのことを考えると、少し笑えてきて。武生を調教するのに、適度に抵抗しないとつまらないからって言って、首輪を……つまり調教の手を緩めたんでしょ? そしたらその首輪を食いちぎって逃げられちゃうんだもの。痛快と言えば痛快よね」
 たしかに。思い返せば痛快だ。いままでさんざん慰みものにされてきた溜飲が下がる。茜は逆に眉をひそめて、
「私は正直、妹さんの趣味にはついていけないかな。女の子扱いするのと、女として調教するのは、全然違うもの。どっちかって言うと、由音ちゃんの趣味の方が近いかしら。悟くんも、随分いじめられたものねー?」
 茜の目が、由音から散々いじめられていた悟に向かう。彼は苦笑して取りなした。
「まぁまぁ、酒匂先生。この場にいない人を貶めるのは、アンフェアですよ。……それにしても、来年には柚川さんがいらっしゃるんですか。すれ違いになってしまって残念ですね」
 彼はブルーのシャツパジャマを着ていた。こうしてみると、物腰も落ち着いているし頼りがいもありそうだ。書類整理等の実務能力がないから、由音たちからいじめられているのかも知れないが、こうしてきびきびと話している彼の姿を見ると、それさえも信じられない。
 そんな彼も、当然来年は卒業だ。行き先は、都内で屈指の名門中学校とのことだった。
「あら、残念なら、もう一年残ればどう? また、由音ちゃんから可愛がってもらえるわよ」
「いや、それは勘弁してください」
 悟は苦笑いして、翠のからかいをいなした。
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