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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-11

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体験入学 第四章 Part.1


 『体験入学』 第四章 結末の四組(おわりのゆくえ)

 ……妹の「花嫁」になってから、二月少しが過ぎた九月半ば。
 武生は今日も、朝から知香に連れ回され、彼女が管理するマンションで陵虐を受けていた。そして七時過ぎに帰ってきた二人は、珍しく両親ともがリビングにいるのに気がついた。
 いつもなら、父親は書斎に、母親はパチンコ店に籠もりきり、リビングに近寄ることなどない両親である。正直兄妹にとっては、リビングにいても邪魔くさいだけだった。同じ部屋にいたい相手ではないのだ。
 まだ残暑が残る季節にクーラーのある部屋にいられないのは辛いが、仕方ない。二人は両親に声もかけず、それぞれの自室に戻ろうとした。しかしそのとき両親が、リビングに来るように命じた。
「大事な話だ。二人とも、居間に来い」
 尊大な口調で言う父親。母親は何も言わず、父親の隣に座って暗い目をしている。
 離婚でもするのだろうか、この夫婦仲は冷え切ってるし。そう思いながらリビングのテーブルに座った二人の目の前に、父親は黙って一枚の封筒を差し出した。
「あ…………」
 妹による調教の日々の中で忘れかけていた過去の記憶が、武生の脳裏に蘇る。それは、深山小学校からの封筒だった。宛名は「柚川武生様」となっていて、「親展」と書かれている。
 家族としての良心か、封は切られていない。しかし目の前にそれを差し出すことで、両親は語らずしてこう言っていた。
 目の前で開けて、どういうことか説明しろ、と。
 武生はしばし、どうしたものか考えた。しかし、結論が出るまでさほど長い時間はかからなかった。武生は封筒を手に取り、
「これかぁ……」
 軽い口調で言いながら、口を切って中身を取り出す。中に入っているのは深山小学校の紹介冊子の最新版と、受験案内冊子。さらに、受験申込用紙だった。そして彼は、こう宣言した。
「深山小学校の受験用紙だよ。俺、ここを受験するつもりなんだ」
「何を言ってるの、武生。あなた、高校生よ? 大学を受験するんじゃないの?」
 母親が、ヒステリックな金切り声を押し込めた、軋んだ声でききかえす。武生は笑った。
「しないよ。だって成績酷いしさ、今どき俺程度の偏差値で受験できるようなまともな大学なんて、どこにもないからね」
「なら予備校に行って、勉強し直せばいいじゃない。一年くらい浪人すれば、どこかには入れるわ。何も小学生からやり直さなくても……」
「無理無理。だって俺、深山小学校受験するつもりだから、大学受験用の勉強してないし。いまからやり直そうって言ったって、基礎の基礎からやり直さなきゃお話にならないぜ。この前の模試なんか、英語を除いたら平均二一点だしね。二人には見せなかったけど」
「な……っ!」
 母親の声が、裏返って跳ね上がる。知香も、驚いた顔で兄を見つめていた。相変わらず仏頂面の父親が、陰気な声で尋ねた。
「……本気なのか。本気で、小学校に入学できると思っているのか?」
「むしろ深山に入れてもらえるかどうかが心配だけどね。一応TO*ICでそこそこの点にはとれるけど、あそこの受験で使うような、生きた英語ってやつはなかなか身に付かな」
「そうじゃないだろ! その年で小学校に入れると思ってるのかお前は!」
 大声を張り上げる父親を、武生はむしろうんざりと見やった。
「入れなければ、こんな話はしないよ。校長先生も、色々と法律とか戸籍とかはごまかしてくれるって言ってるし。でも、入試試験には合格しないといけないから、それが問題だけど」
「ねぇ、武生、冗談よね? 本当は*大とか、そういうところ受けるのよね。お母さんたちをからかってるだけなんでしょ?」
 母親が、今度は精一杯の明るい声を出す。それは妙に空々しく響いた。
 どっちもどっちだ。むっすりと黙り込み、かと思えば突然怒鳴る父親。ヒステリックに叫び、あるいは冗談で片付けようとする母親。
 うんざりだった。武生は面倒くさくなって、学校の紹介冊子をめくり、その中から、体験入学の模様を撮影した写真の一枚を示した。
 そこには、附属幼稚園の制服を着て英語の授業を受ける武生の姿が――正面から、顔を間違えようもなく、はっきりと写っていた。
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