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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-11

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『女児転生』 第一章(11)

 (11)

 4階の廊下をしばらく進み、先生は2年4組の教室の前で立ち止まった。俺は教室の中から見えないように、少し離れた場所に立つ。
 ちらりと見えた中の様子からすると、ちょうど授業をやっているようだ。先生が、授業の邪魔になるから諦めましょ──といってくれるのをちらりと期待したが、そうはならなかった。中にいる国語教師の高塚(40半ば、白髪交じりで眼鏡の男性教師)が、廊下に立っている俺たちに気付いたからだ。
 高塚先生を見た瞬間、俺は真っ青になった。彼は俺のクラスの担任で、つまり俺にとってはそこそこ見知った仲だ。そんな相手の前でこの格好を……!
 俺の心の叫びは、もちろん高塚先生には聞こえなかった。彼は「ちょっと待て」というようにクラスのみんなに軽く手を振ると、がらりとドアを開けて廊下に出てきた。その視線が、とうぜん俺に突き刺さる。中の生徒たちも俺を見て、一斉にがやがやと騒ぎ始める気配があった。
 高塚先生はその丸い目を、俺と先生に交互に向けた。そして、
「ああ、酒匂先生。そちらのお子さんは……ってお前、何だ、山野じゃないか。どうしたんだ、その格好は」
 俺は答えられず、視線を足元に落とした。さすが担任、一発で俺と見破ったのは大したものだと思うけど、こんな時には気付いて欲しくなかった。できれば気付かれずに、「なんか背の高い小学生を連れていたな」で終わって欲しかったのに。
 俺は、高塚先生の顔を見た。
「これは、その……酒匂先生に、無理矢理着せられたんです。好きでこんな格好をしてるんじゃありません」
「そ、そうか。酒匂先生、あんまり生徒をからかわないでくださいね」
 高塚先生は軽い調子で言った後、
「それで酒匂先生。何か……?」
「いえ、こちらの教室に教材を忘れてしまったものですから、取りに来たんです。山野君も一緒に、入って良いかしら」
「あ、いや、私が手伝いましょう。山野はここで待っていてくれ。さすがに、その格好で教室の中に入るのは恥ずかしいだろうからな」
 ナイス、先生! 俺はこのときはじめて、「この先生が俺のクラスの担任で良かった!」と心から思った。
 酒匂先生はちょっとつまらなそうに唇を尖らせたが、すぐに愛想笑いに戻って肯いた。
「それじゃ、済みません。すぐに運び出しますので、失礼します」
「はい。それじゃあ山野、しばらく待っててくれ」
 二人は教室内に消え、やがてプロジェクターと小さな段ボールを持ってくる。高塚先生は俺に段ボールを手渡して、
「それじゃ頼んだぞ。ここの生徒たちにはフォローしておくから……ってちょっと待て、その格好で教室に行く気か?」
「行きたくはないですけど、酒匂先生の命令で」
 俺はじろりと、酒匂先生を見る。しかし先生は婉然と微笑むと、
「ちょっとした高校生のお遊びを、手助けしてあげているだけです。クラスのみんなも判ってくれると思いますよ」
 高塚先生は明らかに難色を示し、それでも強くは言えないのか、
「ん……まぁ、ならいいですが、あんまり変なことはなさらないでくださいね? 山野も、何か変なことになったら遠慮なく言えよ?」
「あ、はい」
「それじゃ、失礼します」
 俺と酒匂先生は頭を下げ、その教室を後にした。背後では高塚先生が、「静かに、静かにしろ! いまのはちょっとしたジョークだから、騒ぐな、良いな!」と言う声が響いていた。
「良い先生ね」
 階段を下りながら、酒匂先生が言う。そりゃ、こんな服を着せようとする先生と、こんな服を着せられた生徒を見ても動揺せずに落ち着いて対応する先生を比べたら、後者の方がずっと良いに決まってるじゃないか。
 そんなことを思いながら黙り込んでいると、酒匂先生も何やら考えているようだった。ぶつぶつと、細切れの言葉が聞こえてくる。
「毎回あんな風に邪魔されたんじゃ、やってられないわよね。下級生たちに、可愛い山野君の姿を見せてあげようと思ったのに。それに、……させるとなると、高塚先生をどうにかして……何とかいい口実があれば……」
 何やらぶつぶつ言っているのが怖かった。本当に、この先生は俺をどうするつもりなんだろう。最悪、高塚先生を頼ってクラスのみんなを説得してもらうのが一番かも知れない。
 俺はそんなことを考えながら、先生のあとについて、遂に自分のクラスに向かった。その時の俺の顔は、まるで十字架を負ってゴルゴダの丘に向かうイエスのように、この世界全てに対する苦悩に満ちていた……と思う。
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