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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-08

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体験入学 第一章(8)


 (8)

 その武生の祈りは、どうやら神様とやらには無視されたらしい。
 店内には三〇代くらいのお母さんと、小学校低学年の女の子が来ていた。カウンターのすぐそばで、店員と話している。店の奥から店内に入り、翠を探すためには、どうしてもそこを通らなければならない。早くどこかに行ってくれないかと思いながら通路の影で見ていた武生を、先ほどの女性店員がめざとく見つけた。
「お客様、どうぞ出てきてください」
「あら、どなたかいるのかしら」
 店員の声にお母さんが応じて、武生は出て行かざるをえなくなった。なるべく目立たないように出て行った途端、女の子が彼を指さして声を上げた。
「あーっ! ママ、あれ、ヨウチエンの服だ!」
「あら、本当ね。ユウミちゃんが去年まで着てた服ね」
 と言うことは、この女の子は小学校一年生。しかも深山附属にいたと言うことは、いまは深山小学校にいる可能性が高い。ツインテールで目がぱっちりした、活発な感じの女の子だが、挙措にはどことない上品さが漂っている。女の子は上品な仕草で、小首をかしげた。
「でもママ。あの人、シンチョウたかいよ。ユウミよりも、お姉ちゃんだよね? マリ姉ちゃんよりも、お姉ちゃんだよね?なんでヨウチエンの服着てるの?」
「さぁ、何でかしらね。きっと何か訳があるのよ」
 お母さんはちょっと意味ありげに、店員に目線を送る。店員は肯いて、少し笑った。
「でも、ユウミちゃんはあの服を卒業したのよね? あっちの子より、ユウミちゃんのほうがお姉ちゃんなのよね?」
 店員にそう言われたユウミは、ちょっと戸惑ったように武生を見て、また小首をかしげた。しかしやがて得心がいったらしく、にっこり笑って誇らしげにこう言った。
「うん、ユウミのほうが、あのお姉ちゃんよりもお姉ちゃんだよ! ……あれ?」
 自分の言い方に妙なものを感じたのか、ユウミはあどけない表情で首をかしげる。店員とお母さんはくすくすと笑い、武生はものすごくいたたまれない状況になった。小学一年生の女の子に、「自分のほうがお姉ちゃん」と言われているのだ。
 顔を赤くして黙り込む武生。しかし店員は、さらにとんでもないことを言いだした。
「それにね、ユウミちゃん。あの子、お姉ちゃんじゃないわよ? 男の子だから、ユウミちゃんにとってはお兄ちゃんかしら。でも、あの子よりもユウミちゃんのほうがお姉ちゃんね」
「えーぇ!」
 ユウミは驚いたように、武生を見る。お母さんは「やっぱり」というように笑っただけで、驚いたそぶりはない。どうやらこの店員の悪癖については重々承知のようだ。ユウミは武生を見ながら、
「だって、だって、あれ、オンナノコの服だよ? オトコノコは着ちゃいけませんって、センセー言ってたもん。なんでお兄ちゃんが着てるの? ねぇ?」
 言われても、武生は貌を赤くして唇を噛むだけで、答えることなどできない。そんな彼にかわり、店員が答えた。
「あの子、ユウミちゃんよりも年上の男の子なんだけど、女の子になりたいんだって。女の子になって、幼稚園児になりたいんだって。だからユウミちゃんはあの子のお姉ちゃんよ。だってユウミちゃんは幼稚園を卒業したし、女の子としてもずぅっと長く過ごしてるんだからね。あの子はまだ、女の子になってからほんの少ししか経ってないの。だから、ユウミちゃんはあの子のお姉ちゃんになってあげて? ね?」
「んーっ……」
 ユウミにとってはちんぷんかんぷんだったのだろうが、それでも何となく話の流れは掴んだらしい。にっこり笑顔になると、
「うん、ユウミ、あの子のお姉ちゃんになってあげる!」
 とことこと武生のほうに歩いてくる。そして、自分より高いところにある武生の顔を見上げてこう言った。
「お兄ちゃん……って言うのもヘンね。アナタ、でいいかな。うん、ユウミがアナタのお姉ちゃんになって上げる。あたしはクスノユウミ。アナタは?」
「え、えっと……その……」
 小学生から「お姉ちゃんになって上げる」と言われた武生は、状況について行けず、どう答えたらいいかも判らず、戸惑いながらもじもじした。それを見たユウミが、小さな胸を張った。
「お兄ちゃん、ユウミよりもトシ……トシウエ、なんでしょ? 自分のお名前くらい、判らないの?」
「ぅ…………」
 女の子にバカにされ、武生は一瞬目をきつく閉じた。しかしそれで現状が打破されるわけでもない。彼はやがて、こう答えた。

「ゆ、ゆずか……竹尾、ゆずかって言います。ユウミちゃん、仲良くしてください」
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