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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-10

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乙女座の園 終章


  終章 宴のあと

「あら、おはよう……って、どうしたの有沢君」
「おはようございまぁす……って、どうしたんですか社長」
 明けて、月曜日。
 出社してきた有沢良介の姿を見て、黒谷晴香は絶句した。同様に、出社してきた良介も、社長の姿を見て絶句した。
 まず、良介。
「ああ……これですか? 実は私、このたび婚約することになりまして、まだ婚約も正式に決まったわけではないんですけど、相手が、こういう服を着ている方が喜ぶものですから」
「……えーと、婚約って……? 相手は、その……」
「もちろん、女性ですよ。男とは婚約できませんからね」
 珍しいほどあっけにとられた表情の晴香に、良介はすまし顔で答える。
 出社してきた良介が着ていたのは、ノースリーブのブラウスにノーマルスカート。足元はヒールのついたパンプスで、キャリアウーマン風のいでたちだ。メイクもばっちり決まっている。
 どう見ても女性としか見えない良介の姿から考えれば、「男と婚約した」と言われた方がよほどしっくり来るのだが、どうもそうではないらしい。晴香は微妙な表情で、頭を掻いた。
 晴香の質問が途切れたところで、今度は逆に、良介が晴香に問いかける。
「それにしても、社長もどうしたんです? 何やら、ずいぶん可愛い格好ですけど」
「……ありがと。でも、有沢君に言われると微妙ね」
 そして、黒谷社長。
 いままで黒のパンツスーツばかりで、スカートはおろか女性的なラインのブラウスさえ、着ているのを見たことがなかった黒谷社長。しかしいまの彼女は、フレンチ袖のピンタックブラウスに、細かいプリーツの入ったシャンペンゴールドのスカートという、いかにも女性らしい服装だったのだ。
 良介の指摘を受けて苦笑いしながらも、晴香は優しい口調で説明しはじめた。
「ちょっとした心境の変化よ。これからは、肩肘張って男らしくするの、やめようと思ってね」
「へぇ……」
 結局この社長が、「女装」に対して何を思っていたのか、聞くことはできなかったし、今回のことが一体どういう心境の変化なのかも、まだ話す気はないようだ。
 そのうち聞く機会もあるだろう、と思いながら、良介は小さく笑った。
「でも、そういう服も似合ってますよ、社長」
「ありがと」
 二人が笑みを交わしたとき、「B&B」事務所に留美が入ってきた。彼女は特ダネを掴んだジャーナリストのように叫びながら、
「大変ですっ、社長っ! 有沢先輩が昨日カテドラルで結婚式を……」
 飛び込んできた留美を見て、晴香と良介はくすくすと笑い交わした。

 季節は夏。「B&B」は新しいプロジェクトに向けて、ふたたび動き始める。
                          Fin.
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