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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-11

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体験入学(4)


 (4)

「いらっしゃいませ」
 中から出て来たのは、まだ若い女性の店員だった。おそらく大学生か、大卒直後。高校生の武生にとっては、「お姉さん」という年齢だ。セミロングの髪に、飾り気のないカッターシャツとジーンズ、胸元から銀のアクセサリをのぞかせている。
「お客様、何かお探しですか?」
「この子の制服をつくってほしいんですけど」
 翠が武生の腕を引き、店員の問いかけに答える。店員はにっこり笑って肯いた。
「かしこまりました。どちらの高校でしょうか?」
「えっと、高校じゃなくて……ほら、武生、自分で言いなさいよ」
 おい、この場面で振るか? 武生は内心でそう毒づいたが、しかし店員のお姉さんをいつまでも待たせているわけにもいかない。恥ずかしいのをこらえて、彼は言った。
「えっと……その、深山……学校付属……園です」
 しかし「小学校」「幼稚園」と云うのが恥ずかしく、かれは小さな声で口ごもる。店員はそんな彼に、こう答えた。
「はい、神山高校ですね。わかりました。……採寸いたしますので、店の奥へどうぞ」
「あ、いえ、そうではなくて……」
 聞き間違えられた。あわてて言いなおそうとする彼に対して、店員は、
「とにかくまずは採寸いたしますので、奥にいらっしゃってください」
 と云って、カウンターの奥にある通路に導いていった。採寸ならここでやっても良いはずだし、わざわざ奥に行く意味がわからない。どうなっているのか判らず戸惑いながら、翠も二人を追う。
 店員が二人を案内したのは店の奥のある個室。一角にはカーテンで仕切られた試着室のようなスペースがあり、また、室内の棚にはいくつもの段ボールが並んでいる。この部屋は採寸・試着室に加え、どうやら倉庫としても使われているらしい。
 案内された武生は、まず店員のお姉さんから採寸された。襟、袖丈、股下、胸囲、腹囲、腰囲、エトセトラ。測り終わった店員は、「しばらくお待ちください」と言って出ていった。
 やがて店員が戻ってくる。てっきり神山高校の制服をもってくるのだろうと思っていた二人だったが、店員のお姉さんが持って来たものを見た瞬間、思わず驚きの叫びをあげた。
「こちらになりますね。サイズは一六〇になります」
 店員のお姉さんが手に持っていたのは、上品なクリーム色のジャンパースカートにボレロ、ベレー帽。それはまごうことない、深山小学校付属幼稚園の制服だった。彼女は楽しそうに笑って言った。
「ふふ、神山高校ではなくて、こちらの制服……それも女子制服でしょう? ときどき男性の方でお求めになるお客様がいらっしゃるので、大体わかるんです。挙動不審ですからね。……たいていお断りしているのですが、中にはお客様のように似合いそうな方もいらっしゃるので、そうした方には販売いたしております」
「へぇ。……いい趣味ね」
 翠がうっすらと笑いながら、ぽつりとつぶやく。店員も、彼女と視線を交わして笑った。自分と共通したものを、お互い感じたのだろう。
「お褒めいただき、ありがとうございます。そんなわけで、こちらの制服はお客様にぴったりだと思いますよ。御試着なさってください」
「え、え……?」
 女性二人がすぐに判り合えたのとは違い、武生は急な展開に戸惑うばかりだ。翠はそんな彼に、冷たく指示を飛ばした。
「ほら、どっちみちこの服を買いに来たんだから、早く着なさいよ。店員さんから白い目で見られて、変態扱いされながら着るよりはマシでしょ?」
「中にはそういう方もいらっしゃいますけどね、お客様はどちらのほうがよろしいですか?」
 虫も殺さぬ笑顔で、店員はきついことを言う。武生は観念して、試着室のような空間に入ってカーテンを閉め、いま着ている高校の制服を脱ぎ始めた。シャツとズボン、ソックスも脱いで床に落とすと、
「はい失礼」
 店員は足もとから手を伸ばし、服をすべて回収していく。下着一枚になった武生は、外から制服が差し出されるのを待っていたが、いつになっても服は入ってこない。逆に外から、
「お客様、下着まですべて脱いでください」
 と言われて焦った。
「ちょ、待ってください。何もそこまでしなくても……」
「いえ、下着によって微妙な制服のラインを調整しなければならないので、着用をお願いします」
 店員は断乎とした声で告げる。どのみちこのままだと下着一枚だ。武生は半ばやけになって、下着を脱いで床に落とした。それを、店員の手が回収する。
 こうして武生は、男としての一切の服を失った。
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