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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-09

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『月夜哉』 第一章(4)


 (4)

 痛い。
 もはやそれしか考えられない。自分の口から何か、獣の断末魔のような声が響いていたが、何を言っているのか、そもそも意味のある言葉をしゃべっているのかさえ判らない。
(お前には、私に従うしかない)
 遠くから、何か聞こえる。聞こえると言うよりも、頭の中に直接その“意味”が染みこんでくるような声。脳に巻き付いて、じわじわと締め上げられるようですらあった。
(どうした? さっきまでの威勢の良さはどこに行った? ほら、少しは抵抗してみろ。そうでないと面白くないからな)
 蛇男に組み敷かれ、服を剥ぎ取られ、力ずくで押さえ込まれてすぐ、そんな囁きが聞こえた。
(貧弱な男だ。その程度で、抵抗になると思っているのか? お前はその程度だ、と言うことだな。大人しく、男に尻を差し出しているのがお似合いだ)
(そら、お前の中に入ってやったぞ。これでお前は男失格だな。そうだろう? どこに、男から尻を掘られる男がいると思っているんだ?)
(叫ぶだけしか能がないのか。レイプされかけた女だって、もう少し精いっぱい抵抗するぞ。……ああ、なるほどな。口ではあれほど言っておきながら、実はこうされたかったのか。いままでのは、抵抗している振りだったんだな? 違うとでも言うつもりか? それとも、図星を指されて慌ててるのか?)
(もう動く力もないのか? なんだ、よがり声を上げてるじゃないか。男のくせに同性からレイプされてよがり声を上げるなんて、とんだ淫乱オカマ野郎だな。お前それでも男か?)
 罵倒。
 侮蔑。
 揶揄。
 嘲笑。
 耳元で囁かれる言葉は、判断力を失ったぼくの脳に次々に刷り込まれていった。
 男性に犯されて、抵抗することもできない屈辱。
 股間を左右に引き裂かれているような、圧倒的な苦痛。
 そして、ぼくという存在を次々に否定されていく喪失感。
 ぼくは堕ちた。
 がんがんと肛門を前後する肉棒の感覚と、背中や腰に感じる男の体重。そんな無力感と絶望感、圧倒的な屈辱の中で、ぼくを犯している人間から発せられる絶対的な言葉。どんなにそれが理不尽で、不合理で、単に力ずくで犯している側からの言い分にしかすぎないと判っていても、無条件で従わざるをえなくなるような感覚。
 やがてぼくは、体内に埋め込まれたペニスから、熱いものを腸内に注ぎ込まれた。彼は動きをやめ、ぼくの耳元で囁いた。
(今日からお前の名は“葉月”だ)
 ぎりぎりまで痛めつけられた直後の、虚脱感。それは暴風雨のようなレイプの後で、ある種の安らぎを持っていた。その安らぎの中で囁かれた言葉。激痛と屈従が止み、まるで唯一の逃げ道のように、ぼくの前に示された言葉。
 これがこの蛇男の手なのだと判っていても、ぼくはそれに無条件ですがるしかない。
(お前はもう、男じゃない。男や女の下にあって、ただいたぶられ、皆を満足させることしか存在価値のない存在だ)
(いいか、“ハヅキ”。これからは、俺たちが斡旋する客の満足を得ることだけを考えろ。お前はもう、それだけの存在なんだからな)
 こうしてぼくはこの日から、“葉月”となった。
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『月夜哉』 第一章(3)


 (3)

 目を開けるより先に、鼻をつくアルコールの匂いがした。
 はっとして目を開け、首を起こす。そこは、薄暗い部屋だった。まるで病院の一室のような、窓のない狭い部屋にベッドだけが置かれている部屋。ここはどこだろう。
 ベッドに肘と手のひらをついて、身体を起こそうとする。しかし、腕や身体に力が入らず、起きあがるのを断念した。何だろう、全身の力がごっそり抜け落ちている感じだ。この感覚はどこかで覚えがある。そうだ、三年くらい前に交通事故に遭い、五日間くらいベッドから起きあがることもできなかったときのような……!
 ぼくは天井を見上げながら、記憶を探り、何があったのか思い出そうとする。そうだ。飲み会の後、新宿二丁目を通ろうとしたら、蛇のような男に声をかけられて、そして……。
「あら、目が覚めたみたいね」
 不意にやわらかな女性の声がして、ぼくは首を上げて足元を見る。部屋のドアを開けて、ひとりの女性が入ってくるところだった。
 シルクサテンのシャツブラウスに、ぞろりとしたロングスカート。そして胸まで届く、豊かに波打つ黒髪。スタイルを強調するような服でもないのに、その女性が豊満な肉体を持つ女性であることがすぐに判った。ルノワールではなくアングルが好んで描くような、適度にふくよかな体つき。
「ふふ、お目覚めもちょうどいい頃合いね。流石はガドウ、というところかしら。とりあえず、初めまして、坊や」
 彼女はぼくを見て、唇をつり上げてそう言った。彼女が誰なのかは判らないが、少なくともこの部屋にぼくを閉じこめた人間のひとりであることには、違いなかった。ぼくは彼女を睨み付け、
「何なんだ、これは? あんたは誰だ? 何で俺を、ここに連れ込んだ? 一体何をする気だ?」
「威勢のいい坊やね。まぁ、その方がわたくしも楽しいのだけれど」
 婉然たる微笑。ぼくは思わず声を荒げ、
「答えろ! 何で俺を、ここに連れ込んだんだ!?」
「本当に、元気がいいな。見込み通りだ」
 女性の背後から、不意に別の声がした。その声には聞き覚えがあった。あの男だ。ぼくが気を失う直前に見た、蛇のような男。
 待つほどのこともなく、女性の蔭から男が現れた。蛇のような目つきをした、スリー・ピースの男性。
「あんたは……」
「やはり覚えていたか。しかも、向こう気の強さはなかなかだな。……気に入ったよ」
 男は口の両端をつり上げて笑った。まるで、本当に蛇だ。いまにも半開きになった口から、先の割れた舌がちろちろとのぞいて動きそうな気がする。
「やっぱり、あんただったんだな。俺をここに連れてきたのは」
「そう言うことだ。……ジョウガ、私はすこし、こいつを飼いならす。見たいなら見てても良いが、あまり見よい状態じゃなくなると思うから、出て行った方が良いぞ」
「そうね。じゃ、頑張って頂戴」
 女性はそう言うと、ぼくの視界から姿を消した。かわりに、蛇のような男がじわじわと、ぼくの方に近づいてくる。まるでゆっくり近づくことで、ぼくの怯える顔を楽しもうとしているかのように。
 そうして蛇は、牙を剥いた。

『月夜哉』 第一章(2)


 (2)

 ネオンサイン。
 入った途端に左右にきらびやかな電飾が光り、風俗店から怪しげなバーまでずらりと立ち並ぶところを想像していたが、目の前に見える中通りの風景は、ぼくにとってはあまりにも予想外だった。
 ごくありふれた、そこら辺の繁華街と大して変わらなかったのだ。
 たしかにネオンサインは輝いているし、客引きとおぼしき男女がうろうろしていたけれども、いまさっきまで歩いていた歌舞伎町のあたりと、ほとんど変わらない。なんか、拍子抜けだ。
 それでも警戒して、ぼくは足早に通り過ぎようとする。客引きも、通り一遍に声をかけては来るけれども、どうやら通りすがりの貧乏学生と見切ったらしく、しつこく追ってくることはない。ぼくは安心して、少し歩調を緩めた。
 と。
(あれは、なんだろう?)
 ぼくは思わず、反対側の歩道を歩く若い男性を見つけて目を丸くした。男性が歩いている、それだけなら違和感はない。

 しかし、それが四つ足で歩いているのなら、話は別だ。

 まるで犬のように、彼は四つ足で歩いている。膝をついたはいはいの姿勢とは違い、両手の平と両足裏を地面につけて歩いているのだ。狼男の変身途中みたいな姿勢だった。
 しかもその服装は、下着一枚に首輪という姿。しかもその下着さえも、卑猥なピンクのTバックという姿だった。顔は見えないが、周囲からの視線を浴び、かろうじて見える頬は真っ赤になっていた。首輪を引いているのは、すっきりしたパンツスタイルの女性。こちらはごく普通に二本脚で歩き、リードを引いて歩いていく。
 気付けばその男性に見とれて、ぼくは歩道の真ん中に立ち止まっていた。そのとき、いきなり肩にトン、と手を置かれた。慌てて小さな叫び声とともに振り向くと、そこにはひとりの男性が立っていた。
 かなり背の高い男だった。彼の顔を見るには、身長165センチのぼくだと、かなり見上げなければならないくらい。おそらく、185センチはあるだろう。逆三角形の細身の身体に、仕立てのよいグレイのスリーピースが、恐ろしいほど似合う。まるで一幅の肖像画のようだ。
 やや酷薄そうな目元に、オールバックにした髪のうち、まとめきれなかった前髪がかかる。知的な印象だが、同時に酷い冷たさを感じる瞳。機械的な冷たさではなく、自らが楽しむためにどこまでも残酷になる、人間的な冷たさだ。
 ぼくはとっさに、白い大蛇を連想した。太い胴体をもつ、真っ白な大蛇。獲物を冷徹な目で見つめ、頑強な身体を持って獲物の動きを封じ、時には胴体に絡めとられた中で暴れる獲物の動きを、楽しむようにいたぶる。そして獲物が弱るのを待ちながら、じわじわと絶命させ、最後にその獲物を丸呑みにしてしまう。そんな、大蛇のイメージだ。
「あれに、興味があるのかな?」
 彼はそう言った。
 ぼくが慌てて返事しようとした次の瞬間、その男の瞳が不意に視界いっぱいに広がり、ぼくはその眼光に射すくめられ、気を失った。

『月夜哉』 第一章(1)


  第一章  新月

 (1)

「じゃ、お疲れさーん」
「お疲れさんでーす」
 ぼくが友人たちに手を振ると、彼らも手を振り返してきた。しかし、すぐに彼らは新宿の人混みの中に消え、ぼくも彼らに背を向けて、駅に向けて歩き出す。
 ぼくがいるのは新宿三丁目の、飲み屋が集中する一角だ。今日は大学で同じゼミに属する“ファミリー”で、前期授業が終わった後の打ち上げに来たところだった。
 時刻は九時。学生どうしの飲み会では、ようやっと一次会が終わって、じゃあ気のあった仲間で二次会に行こうか、という流れになるところだ。しかしぼくは実家が田舎なもので、あまり夜遅く出歩くのには慣れていない。もう大学2年生、20歳になっているというのに、何ともしまらない話だと自分でも思う。
 特に新宿という街は、大の苦手だ。せめて大学近くの立川駅とか、ぼくのアパートに近い国立駅界隈ならまだしも、新宿はまさに不夜城、9時をすぎても店が閉まるどころかいよいよたけなわ、という感じで、田舎育ちにとってはしょうじき怖い。
 長居は無用とばかり、ぼくは足早に新宿駅を目指す。三丁目からだと、一番近いのは東口か新南口だ。酔った頭で、ぼくはそちらの方角に足を向けた。
 しかし、新宿の地理は不案内で、どうやら自分が駅とは逆方向に歩いてきたようだと気付いたのは、靖国通りをかなり東に行ったあたりだった。どうもなかなか駅にたどり着かないからと不審に思い、路上に建てられている地図を確認したのだ。ぼくがいるのは、靖国通りの中でも、新宿二丁目に接するあたりだった。
(参ったなぁ……)
 今からUターンして靖国通りを戻るのは、いささか面倒だった。地図を見ると、地下鉄の新宿御苑前駅が割と近い。地下鉄を使って新宿か中野に戻り、そこから国立を目指す、というルートが一番良さそうだった。
 しかし、そこに行くためのもっとも直線的なルートは、あろう事か、新宿二丁目の中心を通る仲通りを通って行くことだ。
(どうしよう……)
 冷静に考えれば、二丁目のある区画を迂回して行くのが一番安全で、手っ取り早い。しかし、ぼくはちょっと迷った。新宿二丁目と言えば、得体の知れない新宿の中でもさらに中心、百鬼夜行どころか万鬼昼行の魔窟、と言うイメージだ。
 でもまぁ、入ってそうそう取って食われもしないだろう。足早に通り過ぎれば、そう危ないことはないだろうし。何よりも早く帰りたい一念で、ぼくは次の道を右に曲がった。ここを入れば仲通り。新宿二丁目の、中心を走る通りだった。

新作の舞台について

 神無月です。

 ゆうゆ様、お久しぶりです。今作『月夜哉』は、とある会員制のSMクラブを舞台としたお話ですが、実際にこのような形式のSMクラブが存在するのか、寡聞にして知りません。あったら楽しそうですが、やっぱりいろいろ問題があって実現不可能なのではないかなぁ、と言う気がいたします。

 ここで“Lunatic Night”のシステムについて、若干の補足を。後々本編でも触れますが、いちおう誤解のないように解説いたします。
 会員制クラブと言っても、一対一で接待をうけるソープランドのような形式ではありません。ステージのある小じゃれたバーのような内装になっていて、そのステージの上で、店の“スレイブ”あるいはお客が希望してなる“セミスレイブ”が、M側としてプレイを受けます。
 普通のお客は、その“ショウ”を見て楽しむだけ。もちろん店ではお酒やおつまみのたぐいも取り扱っているので、大半の会員は、たまにやってきてお酒を頼み、プレイを見ながら楽しむだけ、と言うことになりますね。
 お客の中でも一部は、高価な別途料金を払って“ショウ”の“マスター”になります。“マスター”になった場合、“スレイブ”ごとに決められたプレイの範囲内であれば、かなり自由に振る舞うことが許されています。稀なケースですが、“スレイブ”がお客を“マスター”として指名することもあります。この辺りは相性の問題でしょう。
 中には“会員”二人(SとM)でやってきて、飛び入りで公開プレイをしに来る人もいます。こちらはステージダイガ若干かかる程度で、「公開プレイをしたい」というカップルがよく利用しています。
 好評であれば、なんと客からのバックもありますが、ブーイングが起こればたちまちステージから引きずり下ろされます。芸の世界は厳しいのです。

 なお、今回の作品は新宿二丁目を舞台としていますが、神無月自身は明るい時間帯しか入ったことがありません(汗)なので、いろいろ間違っているところがありましたら、生温かくスルーするか、あるいは遠慮無くご指摘下さい。

 ではでは。明日以降、乞うご期待。

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