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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2009-04

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乙女座の園 第0エリア(2)

 神無月です。
 えと、この「第0エリア」は話の導入部分なので、連載の日付とは若干異なっております。ご了承下さい。ご指摘がありましたので、念のため。

 さて、本日も開演。まだ女装には入りませんが……。

 * * *

(2)

 良介とて、外部組と内部組の微妙な立場の差は承知しており、外部組に手が足りなければ、これまでも何回かそちらに交じって働いていた。今回も、行く先が《乙女座の園》でなければ、諦めて行ったろう。
 しかし、《乙女座の園》は男子禁制で、それは従業員とて例外ではない。つまり、
「……ウェイトレスとして働くんですか? この僕が?」
 そう、従業員まで男子禁制なので、彼が働くように命じられた喫茶室の従業員も、ばっちり女性一辺倒。したがって、ウェイトレスとして働かなければならないのだ。
 いやな顔をする良介に、晴香は軽い調子で受合った。
「大丈夫、似合うわよ」
「うれしくないです」
「嘘でもうれしいふりをしなさい。りょーちゃん感激っ、とか」
 良介が思いっきり変な目で見ると、晴香は一回咳払いをしてから、不意に、総務部の社員の一人に話を振った。
「……ねぇ、留美ちゃん、彼ならウェイトレスも似合うと思わない?」
「えー、有沢先輩が、ウェイトレスですかぁー……」
 話を振られたのは、高卒で入った一九歳の女性社員、古本留美。会社への在籍歴は良介より長いが、本社での勤務は良介の方が長いので、彼に対してはそれなりの敬意を払ってくれている。そんな彼女だが、これを聞いてちょっと嫌そうな顔をした。
 良介は我が意を得たりと、
「ほら見てくださいよ! やっぱり僕がそんな格好したら、単に気持ち悪いだけですって! いやぁよかった、古本さんが良識的な人で! だから社長、ここは……」
「そうですよ社長。有沢先輩がそんな服着たら、」
 留美が加勢してくれれば、社長だって無理は言わないだろう。良介がそう意気込んだ次の瞬間、
「とても似合いそうで嫌です。なんか、あたしより可愛くなりそうですもの」
 こけた。思わず床に手をついて脱力する良介。しかし二人はそんな彼に構わず、
「そんなことないわよ、留美ちゃんだって可愛いわ。なんなら、比べてみない?」
「えー……あ、じゃあ、事務服ならいいですよ。それならあたし、毎日着てますから、多少は似合ってる自信あります」
「そうね、それならいいかしら。……というわけで、行くわよ」
 良介を無視して話を進める。晴香は強引に良介の手をとって、彼を女子更衣室まで引きずって行った。
「ちょっと、本気ですか?」
 普段は立ち入れぬ女子更衣室の中まで引っ張ってこられて、良介は今さらな質問をする。晴香はこれに、口を開かずに返事した。いきなり彼のベルトをはずし、一気にズボンを引き下ろしたのだ。
「わっ!」
「きゃあっ!」
 悲鳴を上げる二人。良介のズボンが脱がされ、上半身は上着まで来ているのに下半身はトランクス一枚、という惨めな姿になる。留美は目を覆ったが、指の間の隙間からちらちらとみていた。
「ほら、男なら諦めが肝腎よ。それにほら、これから女性向けの企画に携わるかもしれないんだから、女の子の気持ちを分かっていたほうがいいでしょ?」
「あーもう、わかりましたよ。せいぜいオカマになった僕を見て笑ってください」
 もうやけだ。良介はいったんズボンをずりあげた後、ジャケットから順番通りに脱いでゆく。上半身が裸になったところで、留美がうっとりと言った。
「へぇ……やっぱり有沢先輩、きれいな体してるんですね」
 女の子に言われるとは思わなかった。良介はさらに脱力しながら、ついにパンツ一枚になった。
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乙女座の園 第0エリア(1)

 さて。
 いよいよゴールデンウィークなので、前々から準備していた新作を連載していきたいと思います。まだ結末まで書き上がっていないのですが、何とかなる……と思います(汗)今回は幼児女装やSM要素は少なく、二十歳過ぎの青年が色々な女装をさせられるお話です。
 企画会社の運営や仕組みについては詳しくないので、もしも「ここおかしくない?」とかあっても、笑って見逃してやって下さい。

 では、これより開幕。題はタイトルにあるように、『乙女座の園』になります。

 * * *

『乙女座の園』

 第0エリア 「B&B」事務所

(1)

 スマートな印象の女社長は、呼びつけた男性社員がデスクの前に立つなり、開口一番こう言った。
「人が足りないのよ」
「他に雇ってください。アルバイトでも」
 彼女の言葉に反射的に返す、有沢良介。普通の上司・部下関係だったらあり得ないような、漫才そこのけのツッコミぶりだった。
 しかし社長の黒谷晴香は、そんな彼のツッコミを平然と受け流した。部下から親しみを持たれる社長をめざす彼女は、この程度のことでは全く動じない。
「時間もないの。お金も。アルバイトで集めるったって、限度があるわ。大体これ以外に、あなた、仕事がないわよ?」
 良介は、言い返せずに黙りこむ。社長が言うのも、全くの事実だった。
 彼らがいるのはイベント企画会社「Beauty and Brilliancy Factory」、通称「B&B」の事務所。大手企画会社「アトラクティス」の子会社で、主に女性向けのイベントを企画・実行している。設立は五年前だが、最近めきめきと利益を上げている成長株だ。
 実際に会社を動かしているのはわずか二〇人。社長はこの黒谷晴香で、良介はこの会社で唯一の男性社員だった。
 良介はもともとは親会社にいたのだが、親会社とつなげるためのシステム開発ができるのが彼しかいなかったため、半年前からやむを得ずこちらに出向して来たのである。しかしシステム構築が終わっても、会社から戻ってくるようにとのお達しは来なかった。別に親会社が彼を見放したわけではない。逆に、この「B&B」の発展性を期待しているからこそ、緊密な連絡を確保するために、システムのメインテナンス要員として残されていたのだ。とはいえ、それで良介の居心地がよくなるわけではない。女子社員から嫌われてはいないが、やはり女性ばかりの中に男がひとりきり、と言うのは居づらいのだ。
 そんな良介の思惑とは別に、彼の構築したシステムは期待通りの稼働を見せ、親会社との連絡を背景に、「B&B」は成長を続けた。そしてこの成長を背景に、良介が来る前に着工していた大型テーマパークは、計画通りに完成したのである。
 その名も、《乙女座の園Virgo Garden》。
 場所は神奈川県の臨海部、都心から電車で一五分の場所にある。そんな立地の良い場所に広大な土地を確保できたのは、不況の波に押されて衰微した京浜工業地帯の、工場跡地を買収したためだった。
 開園予定日はほぼ一ヶ月後の、五月一日。大型連休開始の土曜日に照準を合わせ、都心から客を動員しよう、というのが狙いだ。都心はテーマパーク、遊園地の激戦区だったが、この《乙女座の園》は、徹底した客層の特化と他のテーマパークとの住み分けによって、それぞれしのぎを削るテーマパーク激戦区に名乗りを上げ、客を呼び込もうとしていた。
 このパークの主眼は、純粋に女性向けのアトラクションを設置し、イベントだけを行うことで、幼稚園から二十代までの女性をターゲットにしている点にある。内容は子供向けのヒロインショーから、それこそ大人にまで対応しうるお姫様への変身体験までそろえてあった。
 しかも園内は、ほぼ男子禁制。入ってこられるのは小学生以下の男の子だけで、しかも頭にはリボンを着用する義務がある。このリボンをつけてまで入ってくる男の子はそうそういないだろうが、いざというときや、本人がどうしても希望するならば、入場を許可する仕組みになっている。男性の目を気にせずに、女性の夢を叶える施設……それが、《乙女座の園》なのだ。
 開演間近を控えて準備万端整った、そんな《乙女座の園》に、
「なんで僕が従業員として行かなけりゃならないんです?」
「ヒマでしょ」
 当然の良介の言葉を、晴香は一言のもとに切って捨てた。
 この会社は、総務部、営業部、宣伝部と一通り配属が分かれているとはいえ、具体的に分かれているのは「内部組」と「外部組」だ。簡単にいえば、総務や経理など、事務服を着て会社内で働くのが内部組。企画担当や市場調査、あるいは現地に行ってアルバイトに対する指導を行ったり、視察を行ったりと、自ら働きに出るのが外部組。職務内容が大幅に異なるため、双方とも異動を極端に嫌う。
 そんな中で唯一の例外、どちらにも属さないのが、会社のシステム管理に携わる良介だ。システムに不備が見つかったり、メインテナンスが必要だったりした時以外は、たいていヒマである。そんなときは総務部に混じり、経理や庶務などの雑事をこなすのが日常だった。
 したがって、外部組に人が足りない時に彼に白羽の矢が立つのは、いわば必然だったのだ。

半強制女装(2)

 荷物が届いてすぐに、妹は、僕のための服をより分け始めた。持ってきた服の中でも、とりわけ女の子らしい物ばかりを選び出し、すでに空っぽにされたクローゼットに詰めていく。さっそく僕は、いままで着ていたスカートスーツから、カジュアルなものに着替えさせられた。
 そして僕自身がいままで着ていた服はすべて実家に送り返され、これまではほんの僅かな時間の楽しみに過ぎなかった女装を、常時強いられる生活を余儀なくされた。大学に行くときには仕方ないので、妹から許しをもらって、男物の服を着てもいいことにしてもらったけれど、それ以外の時はずっと女物を着なくてはならない。とうぜん、下着もだ。
 家の中ではいつもスカート。妹は時々抜き打ちで検査に来るので、毎日ちゃんと女装していなければならない。髪型から化粧まで、妹の要求するクオリティは次第に上がり続けた。
 今まではちょっと汚かった六畳間は、いつも綺麗に掃除した上、あちこちにレースをかけ、ぬいぐるみを置いて、いかにも女の子らしくしなければならない。夜着はネグリジェで、朝起きたらまずはカジュアルなワンピースか、カットソーにスカートというスタイルになる。大学に行くときは化粧を落として男に戻れるのだが、夜に帰ってきてお風呂に入ったら、パイル地のルームウェアに着替える。そして寝る前にはネグリジェだ。
 こんな生活を強要され、僕はもう一刻も早く普通の男性としての生活に戻りたくなって仕方なかった。妹にどう思われようとも、僕は男性でしかない。何の気の迷いかちょっとした女装をしたことはあっても、いつも女装していたい、という気はさらさら無いのだ。
 でももう、僕は妹に逆らうことなんてできはしない。彼女の命じるがままに、スカートを穿き、ワンピースを着て、下着から化粧まで女の子のようになっているしか、道は残っていない。
 そして一年後。
 僕の部屋に一緒に暮らすことになった妹は、同時に、僕の後輩になった。
「おはよう、お姉ちゃん」
「おはよう、マキちゃん。今日は早起きね」
 私は答えた。そう、マキがこの部屋で一緒に暮らすと言うことは、この家の中では、私は「お姉ちゃん」として振る舞わなければならない。女言葉を使い、女らしい立ち居振る舞いを強制される。
「まぁ、始業式の日くらい早く起きないと。お姉ちゃんも来るでしょ?」
「え……? あ、私は二年生だから行かないと思うけど……」
「そんなこと言わないで、来てちょーだいよ。友達に、お姉ちゃんを紹介するって言ってあるんだから」
 私はびっくりした。けど、その時はまだ、本当に「お姉ちゃん」として紹介されるとは思っていなかった。
 そのことに気付いたのは、化粧を落として「僕」に戻る間もなく家から引きずり出された後で、初めての女装外出に、私は半分泣きそうだった。
 結局私は、妹の「お姉ちゃん」として、彼女の友達に紹介された。ほんの短い時間だったからなんとかばれずに済んだけれど、それよりも、女装した姿で大学の中を連れ回されて、知り合いに見つかったらどうしようかと、内心では戦々恐々としていた。

 こうして僕は、三年生になった今では、家の中では完全女装。外では男性としてなんとか取り繕っているが、時々女装姿で外に連れ出される。
 今の僕は、そんな生活を送っている。
                     (終わり)

 * * *

 長くするつもりはなかったのに、気がつくと長くなりそうだったので、ちょっと強引ですけど無理矢理終わらせました(汗)
 家の中でのちょっとした女装がばれて、家の中での完全女装や女装外出を強制される。そんなシチュエーションも楽しいですね。いわば「半強制女装」でしょうか。
 このあとはまぁ、同期の友人たちにばれて女装を披露させられるとか、そんなこんなで女装させられているうちに目覚めてホルモンを始めるとか、色々発展はあると思いますが、とりあえずこの話はこれでお終いです。また何か妄想の欠片が閃いたら、散発的に公開していきます。では。

半強制女装(1)

 昨日の続きです。カテゴリでまとめる都合上、昨日の一部からそのままお楽しみ下さい。

 * * *

『半強制女装』(1)

 僕の平穏な大学生活は、何の前触れもなく上京してきた妹に女装姿を見られたその日から一変した。
 以下の文は、妹に命じられてその顛末をつづったものである。

 僕は高校卒業後、山梨の実家から、東京の西郊にある私立大学法学部に進んだ。当然一人暮らしだ。僕は一人暮らしを初めてすぐに、これまで家族にも内緒にしていた趣味を本格的にスタートさせた。
 秘かな趣味……それは、女装趣味だ。僕は昔から、女性の身体よりもそのまとっている衣服に対して強い憧れを抱き、秘かに着てみたいと思っていた。家族と一緒に住んでいる身としては、色々と不都合があるのでなかなかおおっぴらには出来なかったが、一人暮らしなら誰に気兼ねすることもない。
 すぐに僕は、通販で女性用のスーツと、下着を一揃え用意した。スーツは就活に着るような、さわやかな黒のスカートスーツ。下着もベージュの大人しいものだ。
 髪は少し伸ばしていたが、男性としても違和感のない髪型。化粧道具も揃えて、時々……週に一度くらい、化粧から何からきっちりと女装する。
 そんな時、僕はたいてい女装するだけで満足する。それは確かに性的な興奮も覚えるけれど、自慰行為にまでおよぶと終わった後の自己嫌悪が激しい反動となって襲いかかるので、女装を初めて半月もしてからは、女装した時には自慰を行わないことに決めた。
 僕の女装に対するスタンスは、女性になりたいとか、女性として振る舞いたいとか、そういうものではないのだ。だから女装は週に数時間程度。女装したままで、大学のゼミの準備をしたり、本を読んだりする。僕としてはそれだけでも楽しかったし、逆にそれ以上の女装をする気はなかった。
 そうして一年が過ぎた、二年生の春のある日。
 そしてその日も僕は、女装したままで、今週行われる模擬裁判の資料をまとめていた。
「平成16年の最高裁判決によると……あー、面倒くさいなぁ」
 僕は溜息をつき、判例をまとめたレポート用紙を睨む。民法は、僕にとっては苦手な分野だった。刑法の方がよほど楽しい。
 考えがまとまらず、僕はコーヒーカップを持って台所に向かう。コーヒーメイカーからコーヒーを注ぐ。その時、玄関で何か音がした。郵便受けにチラシが投函された音だろうと気にも留めず、居間兼寝室にしている六畳間に入ったその時、
「きゃあああっ!」
「わぁっ!」
 いきなり甲高い悲鳴。そして、男の驚く声。もちろん、後者が僕だ。とっさに女性らしい金切り声を出せるほど、女装に馴染んではにない。
 そしてその、悲鳴を上げた女性は……
「マキ?」
「お、……お兄ちゃん!?」
 目の前にいたのは、今日ここにいるはずのない、高校生の妹の姿だったのだ。

 *

 驚く妹に、僕は渋々告白した。今まで秘かな女装趣味があったこと。実家暮らしの時は隠していたが、一人暮らしを初めてからは、時々女装をしていたこと。妹は驚きながらも、どこか納得した表情だった。
「お兄ちゃんって、妙に女の子受けするくせにモテなかったものね。女の子たちも、お兄ちゃんのことを異性としては見られなかった、ってことじゃないかな」
 話を聞き終えた妹は、まずそんなことを言った。そして思案顔のまま、
「そうね……持ってる服は、それだけ?」
「うん。やっぱり、変だよね。男なのにこんな服着てるなんて。すぐに脱ぐよ」
 僕は着替えようと、立ち上がりかけた。さっきからずっと説明にかかりきりで、スカートスーツも化粧もそのままだったのだ。その僕の手を、妹は掴んできた。
「ちょっと待ってよ。変だなんてひとことも言ってないじゃない。似合ってるわよ、本当に」
「あ、ありがと」
 真顔で言われて、ちょっと照れた。
 そして、妹は僕の顔をまじまじと見たあと、にっこり笑って肯いた。僕は少し警戒した。妹がこういう笑い方をするのは、大抵ろくでもないことを考えついたときだからだ。
「ふぅん……そうね。ねぇ、お兄ちゃん。女装趣味があるなんてことが父さんにばれたら、色々まずいよね?」
「……マキ?」
 ぎくりとして、僕は妹を見る。うちの親父は昔ながらの男尊女卑思想の持ち主で、古生代の化石ばりに頭が固い。学費を出してもらっている身としては、親父に女装趣味を知られることだけは避けたかった。
「それは確かにまずいけど……でも、黙っていてくれるんだろ?」
「お兄ちゃんってば、女の子の服着てるのに、その言葉遣いはないんじゃない? あ、あたしもお兄ちゃんなんて呼んじゃいけないか。ね、お姉ちゃん?」
「マキ!」
 かっとなって、思わず叫ぶ。確かに僕には女装趣味があるけど、他人から女の子扱いされたいという願望はないのだ。しかも実の妹から、「お姉ちゃん」なんて呼ばれたくはない。
 しかし妹は、涼しい顔で笑っている。
「もちろん、お父さんに対して『お姉ちゃん』のことをしゃべったりはしないけど、その代わり……あたしの前では『お兄ちゃん』じゃなくて『お姉ちゃん』になって欲しいな。あるいは、この部屋の中では」
「そ、それって、どういう……」
 妹が何を言っているのか、何を考えているのか、僕には全く判らなくなってきた。「お姉ちゃん」になれ、だって?
 僕の女装姿を見て怒り出したり、軽蔑したりする方がまだ理解できる。本当に、何を考えているんだろう。
 そんな僕の心中を知ってか知らでか、妹はにぃっと笑って指を突きつけた。
「この部屋の中では、『お姉ちゃん』には女物の服だけを身につけてもらうことにするわ。だって『お姉ちゃん』だもの、当然よね。一応外では男のふりをしなくちゃいけないだろうから、外出用には女物と判りにくいものも用意してあげる」
「!!」
 やっと判った。妹は僕に、家の中でだけとはいえ、24時間の完全女装を望んでいるのだ。
「待てよ、別に俺はずっと女装していたいなんて気持ちはないって!」
「わるいけど、その格好で言われても説得力無いわ。そうそう、さっそく男物の服は梱包して実家に送るからね。今日中にはわたしの服も届くから、その中から良さそうなのを見繕って、『お姉ちゃん』にあげる」
「…………」
 ちょっと待て。今どこに話が飛んだ?
「それどういう意味だよ、今の!」
「ん? だから、今ここにある服は、実家に送るってこと。これから『お姉ちゃん』になる以上、不要だもの」
「そうじゃない! その次! なんでマキの服が俺の部屋に届く!?」
「あ……そうそう、忘れてた」
 妹はここに来てやっと、本来この部屋に来てすぐに始めるべきことを説明した。まぁ、僕の女装姿を見せられて、色々と混乱したせいだろうけれど。
「私、これからしばらく『お姉ちゃん』の部屋に泊めてもらうことになったから。とりあえずゴールデンウィークの間までだけど、よろしくね?」

強制女装についてのあれこれ(2)

 強制女装について。一日空けて、二回目です。

 当然ですが、「強制女装」と呼ぶ場合、「女装趣味」があってはいけません。
 しかしこの定義も厳密ではありません。例えば本当に女性になりたいと望むTSや、社会的に女性として扱われたいと望むTGのような方の場合、「女性」というのがその方のあるべき姿なのですから、女装そのものに対しての恥じらいは生じないのでしょう(そうした方々の心理については詳しくありませんが、女装に対して恥じらいを持つとすれば、もっと複雑な、その方のアイデンティティに関わるようなものであると思われます)。
 しかしTV、いわゆる異性装嗜好の場合、その様態は千差万別です。外出される方、家の中でだけ女装を楽しむ方、あるいはほんの少しの時間に女装を楽しむ方。中には神無月のような屈折型の方もいらっしゃるかも知れません。
 いずれにせよTVの場合には、「女性の服を着るのが好き」なのであって、「女性になりたい」のでも「女性として扱われたい」のでもありません。TVの方にも、周囲に対してカミングアウトして女装したまま外を歩く方も数多くいらっしゃいますが、周囲にも家族にも隠れて女装していらっしゃる潜在的女装子の数も、非常に多いのではないでしょうか。
 そして、そんな潜在的女装子の方が、周囲や友人などにばれてしまい、家の中では常時女装、あるいは女装外出を強制されるのは……これも一種の、強制女装といえなくもありません。

 えーと、生半可な知識で判りづらいことを述べてきましたが、要するに、軽い女装趣味のある方でも、「強制女装」は成立するのではないか、ということです。
 具体例を示した方が早いかも? 思いつくままに、少し書いてみます。

 * * *

 僕の平穏な大学生活は、何の前触れもなく上京してきた妹に女装姿を見られたその日から一変した。
 以下の文は、妹に命じられてその顛末をつづったものである。

 僕は高校卒業後、山梨の実家から、東京の西郊にある私立大学法学部に進んだ。当然一人暮らしだ。僕は一人暮らしを初めてすぐに、これまで家族にも内緒にしていた趣味を本格的にスタートさせた。
 秘かな趣味……それは、女装趣味だ。僕は昔から、女性の身体よりもそのまとっている衣服に対して強い憧れを抱き、秘かに着てみたいと思っていた。家族と一緒に住んでいる身としては、色々と不都合があるのでなかなかおおっぴらには出来なかったが、一人暮らしなら誰に気兼ねすることもない。
 すぐに僕は、通販で女性用のスーツと、下着を一揃え用意した。スーツは就活に着るような、さわやかな黒のスカートスーツ。下着もベージュの大人しいものだ。
 髪は少し伸ばしていたが、男性としても違和感のない髪型。化粧道具も揃えて、時々……週に一度くらい、化粧から何からきっちりと女装する。
 そんな時、僕はたいてい女装するだけで満足する。それは確かに性的な興奮も覚えるけれど、自慰行為にまでおよぶと終わった後の自己嫌悪が激しい反動となって襲いかかるので、女装を初めて半月もしてからは、女装した時には自慰を行わないことに決めた。
 僕の女装に対するスタンスは、女性になりたいとか、女性として振る舞いたいとか、そういうものではないのだ。だから女装は週に数時間程度。女装したままで、大学のゼミの準備をしたり、本を読んだりする。僕としてはそれだけでも楽しかったし、逆にそれ以上の女装をする気はなかった。
 そうして一年が過ぎた、二年生の春のある日。
 そしてその日も僕は、女装したままで、今週行われる模擬裁判の資料をまとめていた。
「平成16年の最高裁判決によると……あー、面倒くさいなぁ」
 僕は溜息をつき、判例をまとめたレポート用紙を睨む。民法は、僕にとっては苦手な分野だった。刑法の方がよほど楽しい。
 考えがまとまらず、僕はコーヒーカップを持って台所に向かう。コーヒーメイカーからコーヒーを注ぐ。その時、玄関で何か音がした。郵便受けにチラシが投函された音だろうと気にも留めず、居間兼寝室にしている六畳間に入ったその時、
「きゃあああっ!」
「わぁっ!」
 いきなり甲高い悲鳴。そして、男の驚く声。もちろん、後者が僕だ。とっさに女性らしい金切り声を出せるほど、女装に馴染んではにない。
 そしてその、悲鳴を上げた女性は……
「マキ?」
「お、……お兄ちゃん!?」
 目の前にいたのは、今日ここにいるはずのない、高校生の妹の姿だったのだ……。

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