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十月兔

強制女装を中心とした小説・イラストのブログです。

2017-07

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『月夜哉』 第一章(7)

 (7)

 それから数日間は、非常に静かな時間だった。食事は一日三回、わりとしっかりした物を嫦娥が置いていってくれたし、また暇なときには、嫦娥が置いていった横溝や乱歩、ボードレールや三島などを読んで過ごした。一回医者が来て、ぼくの怪我の状態を確認したくらいで、ごくごく平穏な時間だった。
 我道も一度、顔を見せた。にやにやと笑うその表情は相変わらずしゃくに障ったが、それでも「一日も早く身体を治せ」と言われただけだった。
 “ハヅキ”デビュー当日の夜。ぼくは初めて、嫦娥以外の店員と会った。“スレイブ”を調教する“マスター”の男性で、眼鏡をかけた白皙の男だ。辣腕青年実業家、と言うイメージだが、
「タイハク」
 青年はそう名乗った。
 この店の店員やら店長やらは、月にちなんだ名を付けられている。ぼくはとっさに、(李太白だ)と判断した。
 李太白。李白といった方が通りがよいが、要するに盛唐屈指の詩人である。“詩仙”の異名で知られ、同じく盛唐の詩人で“詩聖”と称された杜甫と並び称される。彼も月に関わりのある逸話が伝わっているのだが──ぼくは何も言わず、彼を見上げた。
「君が“ハヅキ”か。俺が今日、“ショウ”で君の相手をすることになった太白だ。“ショウ”の内容については、その場で指示する。以上だ」
 無駄な会話はしない主義なのか、本当に最低限の必要事項のみを告げた後、太白は出て行った。ビジネスライクで、我道のように無駄に嘲弄するようなこともない。一見普通の人だと思えたが、
「気をつけなさいね、“ハヅキ”。彼、素面だとあんな感じだけど、お酒が入るとすごいのよ。自分の言うことに従わない“スレイブ”には容赦ないから、逆らわない方が良いわよ。どんなに酷い命令でも、ね」
「は、はは……」
 話半分に聞いていたが、嫦娥の言っていることは本当だった。
 夜の8時。いよいよ“ハヅキ”のお披露目ショウが開かれる時間だ。
 ぼくは全裸に首輪という姿で、舞台の袖にいた。リードを引くのは、スーツ姿の太白だ。
「行くぞ」
 彼はぐいとリードを引くと、ぼくを舞台の上に引きずり上げた。そしてぼくは、一見冷徹そうな表情の裏に隠れた太白の酷薄な本性を、かいま見ることになったのである。
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『月夜哉』 第一章(6)

 神無月です。
 新作に時間をとられて、『月夜哉』はすっかり放置状態でしたが、また再開いたします。お久しぶりなので、少し長めとなっております。 

 (6)

 先ほど男性から犯されるという屈辱を受けたばかりだが、それでも横たわるぼくの目の前におかれたその服を身につけるのには、果てしない抵抗があった。さっきはまだ、力ずくで犯されたのだという言い訳がきく。しかし、自分の手で女の服を着なければならないとなれば、話は別だ。
「これ……を……?」
 ぼくの言葉に、嫦娥も我道も返事しない。愚問だ、とでも思っているようだった。
 色は白。広く開いた襟ぐりに、ピンクのサテンリボンを通したフリルがあしらわれている。裾こそ長いものの、袖はなく、着るとおそらく肩まで露出する。女性だって、今どきこんなものを着て寝る人は少ないだろう。
「何で、こんなものを……?」
 言いながら、ぼくは悟っていた。裸で連れ回されるのは確かに屈辱的だし、つらい。しかし裸であっても、それは男性であることを維持したままでの恥ずかしさだ。
 衣服という、アダムとイブが恥に目覚めて以来、人類がずっと身にまとっていたものを剥ぎ取られ、まるで獣のような姿で人目に晒される恥ずかしさ。しかしそれは、男性であることを維持したままの恥ずかしさだ。
 一方、ぼくに求められているのは、「男でありながら女の服を着る」ことだ。男性でありながら、それを自らで否定する行為。「俺は男なんだ! こんな、女の服なんか着られるか!」そう、大声で叫びたい。しかし──
「どうした? まさか、俺は男だからそんなものは着られない、なんて言わないよな。ついさっきまで散々犯されて、ろくな抵抗も出来ずに悲鳴を上げていた石和君?」
 ぼくは言い返すことも出来ず、黙り込んだ。石和──石和裕孝(いさわ ゆたか)。それがぼくの本名だ。どうやら財布の中に入れてあった身分証か何かから知られたらしい。いや、そんなことはどうでもいい。問題なのは、このタイミングで本名を出されたせいで、ぼくにはもう何ら反論の余地がなくなってしまった、と言うことだ。
 石和裕孝は、男性に力ずくで犯された。抵抗も出来ず、ただ悲鳴を上げて、自分に降りかかる男性からの暴力を受け入れた。その事実を真正面から向けられたのだ。
 ぼくにはもう、男性としてのプライドを感じる資格はない。たとえ砕け散ったプライドのかけらが、ぼくの中で軋んだ音を立てようとも。
 ゆっくりと、ネグリジェを手に取る。もと着ていた服はとっくに脱がされて、ぼくは素裸でベッドに横たわっている状態だ。諦めてネグリジェを身につけようと、上体を起こそうとしたときだった。
「ぅあッ!」
 いきなり、腰の奥が激痛を発した。どうやら肛門の筋肉が半ば裂けているらしく、凄まじい痛みを発しているのだ。
 ぼくはうめき声を上げ、ベッドに倒れ込んだ。
 それを、我道と嫦娥は冷ややかな目つきで見つめている。これを着るまで、彼らは決して許してくれないだろう。そう思って、ぼくが再び上体を起こしかけたときだった。
「やめとくか」
 我道はそう言って、ベッドの上からネグリジェをつまみ上げ、嫦娥に放った。嫦娥は怪訝な顔で、
「あら、どうしたの。やめちゃうなんて、あなたにしてはお優しいじゃない」
「そうか?」
 我道は蛇のような目つきで笑い、ぼくを見た。まるで、一番旨い獲物は最後まで取っておこうと言わんばかりに、
「いまの様子だと、初めて女の服を着るのだけでも見るだけでも、なかなか楽しめそうだ。俺たちだけで見るのは勿体ないくらいにな。だからさっさと身体をなおしてやって、舞台ではじめて女の服を着せてやろう。
 久々に復活した“ハヅキ”のデビューだからな。どうせなら、女装に羞じらう姿を初めから味わいたい、って客も多いはずだ。その路線で行こうって言えば、ミチナガも納得するだろう」
「あなたもよくよく悪趣味ね」
 嫦娥はくすくす笑い、ネグリジェをバスケットにしまう。
 ぼくは嫦娥の台詞に、内心で全面的に同意した。要するに、女装経験なんか全くないぼくを、いきなり衆人環視の舞台に上げて、そこで初女装をさせ、恥ずかしがる姿を酒席に供しようというのだ。悪趣味もいいところだ。
 それでもぼくには、反論するだけの気力も、体力も、権限もない。ただじっと黙って、腰のあたりに感じる“スレイブ”としての烙印の痛みに、耐えているしかなかった。

『月夜哉』 第一章(5)


 (5)

「それじゃ、説明するわね。
 今いるここは、“Lunatic Night”という会員制のクラブの控え室よ。まぁ、お店自体は、ステージのあるバーみたいなものだと思えばいいわ。で、私がそこのホステスの一人、ジョウガ。漢字は……難しいから省くわね」
 ふたたびベッドにぐったりとなったぼくに、先ほど蛇男を案内してきた女性が戻ってきて、そう言った。当の蛇男は、向こうで冷笑を浮かべながらこちらを見ている。
 次々に、新しい単語が耳に入ってくる。“Lunatic Night”──狂気の夜。そして、ジョウガ。“Lunatic”の語源が月Lunaにあることを思い出していたためか、その響きからすぐに連想が働いた。ぼくは思わず、
「ジョウガって……中国民話の、女性? “嫦娥奔月”の?」
「あら、よく知っているわね。ええ。その嫦娥よ。で、そっちの男が我道。我が道って書くの。傍若無人な彼にはぴったりね。彼は店員じゃなくて、オーナーの個人的な知り合い。本業は洋画家よ」
 蛇男、もとい我道と呼ばれた男は、目を閉じて肩をすくめる。オーヴァ・アクションが妙に様になる男だ。
「で、あなたはこれからこの“Lunatic Night”の第8“スレイブ”、“葉月”よ。さっき、身をもって教え込まれたと思うけど」
「“スレイブ”……」
 奴隷Slave。そう言われると改めて、さっき貫かれた場所に烙印を押されたような気分だった。古代中国では、罪人などが奴隷におとされるとき黥(いれずみ)を入れられる。古代ローマでも、家産奴隷には所有者の名を烙印した。
 つまりぼくも、そうなったわけだ。僕は無表情にうなずいた。
「“スレイブ”ってのは、この店のステージで行われるSMショウでの“スレイブ”ね。私や他の“マスター”、あるいは店の客が“マスター”になって、あなたにSMプレイを行うことになるわ」
 どうやら、この店にはいろいろ仕組みがあるらしい。僕は適当に聞き流してうなずいた。聞いたところで、彼らのぼくに対する取扱いが変わるものとも思えない。
 嫦娥はぼくの内心など見透かしているように、薄く唇をつり上げた。
「その中であなたは“葉月”だから……まぁ、それなりにハード、といったところかしら? あ、ちなみに“葉月”みたいなコードネームごとに、プレイの内容は決まっているのよ。その中で“ハヅキ”は、男性“スレイブ”としては上から3番目、全体でも上から5番目にハードなプレイを要求されるわね」
「ちなみに、お前が通りで目撃したのが“ミナ”で、お前よりもハードさでは落ちる。そう聞けば、どのくらいのプレイになるか想像がつくだろう」
 これを聞いて、覚悟していたこととは言え鳥肌が立った。あの男性よりもっと酷い姿で、外に連れ回されるのだろうか。
「ちょっと、我道。“ハヅキ”が怯えてるじゃない。プレイ内容がハードと言っても、大丈夫よ。“ミナ”は露出プレイを中心とした“スレイブ”だから、あなたが外に連れ出されることはほとんどないわ」
「全くない、とは言えないが、少なくとも“ミナ”ほど頻繁ではないだろうな」
 ならば一体、何がハードなのか。
「そうだな。“ハヅキ”は男性からのレイプも前提になる。“ミナ”も一部受けているが、それほどじゃない。あと、“ミナ”は、裸に首輪ってのが制服だが、“ハヅキ”には別の制服が用意されている」
 つまり、裸に首輪以上に屈辱的な服装で働かなければならない上、男に犯されることもありうる、と言うことだ。目の前が真っ暗になる思いがした。
「その制服って?」
「……そうだな、すぐには調教にかかれないとしても、制服になれるための下準備はしておこうか。嫦娥」
「ええ。持ってきてあるわよ」
 そう言うと、嫦娥は部屋の隅に置いてあったバスケットを持ってきた。その中から、彼女が取り出したのは、

 あろうことか、一枚のネグリジェだったのである。

『月夜哉』 第一章(4)


 (4)

 痛い。
 もはやそれしか考えられない。自分の口から何か、獣の断末魔のような声が響いていたが、何を言っているのか、そもそも意味のある言葉をしゃべっているのかさえ判らない。
(お前には、私に従うしかない)
 遠くから、何か聞こえる。聞こえると言うよりも、頭の中に直接その“意味”が染みこんでくるような声。脳に巻き付いて、じわじわと締め上げられるようですらあった。
(どうした? さっきまでの威勢の良さはどこに行った? ほら、少しは抵抗してみろ。そうでないと面白くないからな)
 蛇男に組み敷かれ、服を剥ぎ取られ、力ずくで押さえ込まれてすぐ、そんな囁きが聞こえた。
(貧弱な男だ。その程度で、抵抗になると思っているのか? お前はその程度だ、と言うことだな。大人しく、男に尻を差し出しているのがお似合いだ)
(そら、お前の中に入ってやったぞ。これでお前は男失格だな。そうだろう? どこに、男から尻を掘られる男がいると思っているんだ?)
(叫ぶだけしか能がないのか。レイプされかけた女だって、もう少し精いっぱい抵抗するぞ。……ああ、なるほどな。口ではあれほど言っておきながら、実はこうされたかったのか。いままでのは、抵抗している振りだったんだな? 違うとでも言うつもりか? それとも、図星を指されて慌ててるのか?)
(もう動く力もないのか? なんだ、よがり声を上げてるじゃないか。男のくせに同性からレイプされてよがり声を上げるなんて、とんだ淫乱オカマ野郎だな。お前それでも男か?)
 罵倒。
 侮蔑。
 揶揄。
 嘲笑。
 耳元で囁かれる言葉は、判断力を失ったぼくの脳に次々に刷り込まれていった。
 男性に犯されて、抵抗することもできない屈辱。
 股間を左右に引き裂かれているような、圧倒的な苦痛。
 そして、ぼくという存在を次々に否定されていく喪失感。
 ぼくは堕ちた。
 がんがんと肛門を前後する肉棒の感覚と、背中や腰に感じる男の体重。そんな無力感と絶望感、圧倒的な屈辱の中で、ぼくを犯している人間から発せられる絶対的な言葉。どんなにそれが理不尽で、不合理で、単に力ずくで犯している側からの言い分にしかすぎないと判っていても、無条件で従わざるをえなくなるような感覚。
 やがてぼくは、体内に埋め込まれたペニスから、熱いものを腸内に注ぎ込まれた。彼は動きをやめ、ぼくの耳元で囁いた。
(今日からお前の名は“葉月”だ)
 ぎりぎりまで痛めつけられた直後の、虚脱感。それは暴風雨のようなレイプの後で、ある種の安らぎを持っていた。その安らぎの中で囁かれた言葉。激痛と屈従が止み、まるで唯一の逃げ道のように、ぼくの前に示された言葉。
 これがこの蛇男の手なのだと判っていても、ぼくはそれに無条件ですがるしかない。
(お前はもう、男じゃない。男や女の下にあって、ただいたぶられ、皆を満足させることしか存在価値のない存在だ)
(いいか、“ハヅキ”。これからは、俺たちが斡旋する客の満足を得ることだけを考えろ。お前はもう、それだけの存在なんだからな)
 こうしてぼくはこの日から、“葉月”となった。

『月夜哉』 第一章(3)


 (3)

 目を開けるより先に、鼻をつくアルコールの匂いがした。
 はっとして目を開け、首を起こす。そこは、薄暗い部屋だった。まるで病院の一室のような、窓のない狭い部屋にベッドだけが置かれている部屋。ここはどこだろう。
 ベッドに肘と手のひらをついて、身体を起こそうとする。しかし、腕や身体に力が入らず、起きあがるのを断念した。何だろう、全身の力がごっそり抜け落ちている感じだ。この感覚はどこかで覚えがある。そうだ、三年くらい前に交通事故に遭い、五日間くらいベッドから起きあがることもできなかったときのような……!
 ぼくは天井を見上げながら、記憶を探り、何があったのか思い出そうとする。そうだ。飲み会の後、新宿二丁目を通ろうとしたら、蛇のような男に声をかけられて、そして……。
「あら、目が覚めたみたいね」
 不意にやわらかな女性の声がして、ぼくは首を上げて足元を見る。部屋のドアを開けて、ひとりの女性が入ってくるところだった。
 シルクサテンのシャツブラウスに、ぞろりとしたロングスカート。そして胸まで届く、豊かに波打つ黒髪。スタイルを強調するような服でもないのに、その女性が豊満な肉体を持つ女性であることがすぐに判った。ルノワールではなくアングルが好んで描くような、適度にふくよかな体つき。
「ふふ、お目覚めもちょうどいい頃合いね。流石はガドウ、というところかしら。とりあえず、初めまして、坊や」
 彼女はぼくを見て、唇をつり上げてそう言った。彼女が誰なのかは判らないが、少なくともこの部屋にぼくを閉じこめた人間のひとりであることには、違いなかった。ぼくは彼女を睨み付け、
「何なんだ、これは? あんたは誰だ? 何で俺を、ここに連れ込んだ? 一体何をする気だ?」
「威勢のいい坊やね。まぁ、その方がわたくしも楽しいのだけれど」
 婉然たる微笑。ぼくは思わず声を荒げ、
「答えろ! 何で俺を、ここに連れ込んだんだ!?」
「本当に、元気がいいな。見込み通りだ」
 女性の背後から、不意に別の声がした。その声には聞き覚えがあった。あの男だ。ぼくが気を失う直前に見た、蛇のような男。
 待つほどのこともなく、女性の蔭から男が現れた。蛇のような目つきをした、スリー・ピースの男性。
「あんたは……」
「やはり覚えていたか。しかも、向こう気の強さはなかなかだな。……気に入ったよ」
 男は口の両端をつり上げて笑った。まるで、本当に蛇だ。いまにも半開きになった口から、先の割れた舌がちろちろとのぞいて動きそうな気がする。
「やっぱり、あんただったんだな。俺をここに連れてきたのは」
「そう言うことだ。……ジョウガ、私はすこし、こいつを飼いならす。見たいなら見てても良いが、あまり見よい状態じゃなくなると思うから、出て行った方が良いぞ」
「そうね。じゃ、頑張って頂戴」
 女性はそう言うと、ぼくの視界から姿を消した。かわりに、蛇のような男がじわじわと、ぼくの方に近づいてくる。まるでゆっくり近づくことで、ぼくの怯える顔を楽しもうとしているかのように。
 そうして蛇は、牙を剥いた。

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